ボツリヌス療法を実施しています
当院では、入院患者様を中心にボツリヌス療法(ボトックス療法)を実施しております。
痙縮(手足の筋肉のつっぱり)とは
脳卒中でよく見られる運動(機能)障がいのひとつに痙縮(けいしゅく)という症状がありま
す。痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足をうごかしにくかったり、勝手に動いてしまう状態の
ことです。
痙縮では手指が握ったままとなり、開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側
のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。
痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限され(これを拘縮といい
ます)、日常生活に支障が生じてしまいます。また、痙縮がリハビリテーションの障害となる
こともあるので、痙縮に対する治療が必要となります。
なお、痙縮については、こちらのサイトでも詳しくご紹介しております。
ボツリヌス療法(ボトックス療法)とは
ボツリヌス療法(ボトックス療法)とは、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然の
たんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に駐車する治療法です。
ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのた
めボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができます。
なお、ボツリヌス療法はボツリヌス菌そのものを注射するわけではありませんので、ボツリヌ
ス菌に感染する危険性はありません。
ボツリヌス療法の効果
ボツリヌス療法によって、以下のような効果が期待できます。
手足の筋肉がやわらかくなり、動かしやすく
なることで、日常生活動作(ADL)が行い
やすくなることが期待できます。
リハビリテーションが
行いやすくなることが
期待できます。
手足の筋肉のつっぱり(痙縮)をやわらげることにより、
痙縮による痛みを緩和する効果が期待できます。
また、介護の負担が軽くなることが期待できます。
ボツリヌス療法を実施後、リハビリテーションをあわせて継続することで効果が期待できます。
ボツリヌス療法の効果は概ね3ヶ月から4ヶ月程度持続しますが、その後しだいに効果が消え
ていきます。治療を止めてしまうと痙縮はもとの状態に戻ってしまいますので、1年に数回、
繰り返しボツリヌス療法を受ける必要があります。
ボツリヌス療法の副作用
ボツリヌス療法を受けた後の副作用に、以下のような症状が現れる場合があります。
「注射部位がはれる」
「注射部位が赤くなる」
「注射部位に痛みを感じる」
「体がだるい」
「力が入らない」
「立っていられない」
これらの症状については多くが一時的なものですが、症状があらわれた場合には、医師にご相
談ください。
ボツリヌス療法の料金、その他のお知らせ
当院で行う上肢痙縮・下肢痙縮に対するボツリヌス療法は、保険の適応となります。
注射を行う場所や範囲などにより、費用は異なりますが、お持ちの保険証に応じた負担額が発
生いたします。
なお、医療費の助成制度が適用される場合もあります。
費用について詳しくお知りになりたい方は、病院職員へお気軽にお問い合わせください。